面接担当者(面接官)をする場合には注意する点がたくさんあります。それは、面接前から始まっています。知らずして面接担当者をしてしまうと、採用辞退はもちろんのこと会社の信用も無くしてしまいます。
そんな、面接担当者(面接官)の心構えと態度をわかりやすく説明いたします。
面接前の段階で判断できる材料
問合せは応募者の地が出ることが多い
採用の選考は履歴書・職務経歴書の書類選考と面接やディスカッションなどだけで決まる訳ではありません。
応募者が問合せをしてきた時から始まっています。
問合せが電話、手紙、メールなどいかなる手段であったしても応募者の個性や知性、品格などが垣間見えてきます。
電話の問合せは相手が電話越しにいる為なのか、それほど失礼な応募者は少なく、手紙は最近は書きなれていないから調べて書いてくるなのか、とても丁寧な内容であったりもします。
しかし、メールについてははっきりと分かれます。
ぶっきらぼうなメールで友人に送るかのようなメールをしてくる応募者もいます。正社員の応募の場合は少ないといえば少ないですが、アルバイトの場合ははっきり言ってとても酷い。
例えば件名などは空白のままで「バイト募集します」と本文に打ってくる応募者。同じように、件名欄に「バイト希望」で本文は空白という応募者もいたりします。
逆にアルバイト募集であっても、正社員の募集のようにとても丁寧な文章で問い合わせをしている応募者もいます。ただ、アルバイト募集なので応募者は、比較的年齢層は若い。社会経験もない為、仕方がないことなのかもしれません。
しかし、どのような問合せであっても、こちらからの連絡は丁重にする事が大事です。
相手のペースに巻き込まれてはいけないですし、丁重に返信を返した後に連絡がない応募者もいます。こういった応募者はおそらく「軽い気持ち」でバイトをしようと思っていたが返信が真面目に返ってきたので自分とは合わないと思ったのではないかと推測でき、その段階で優秀な人材かどうかの判断が出来ます。
複数回メールのやり取りをすると応募者の人物像が見えてきます。ぶっきらぼうだが、ガンガンタイプの頑張り屋かもしれないや、内容は丁寧なのだが事務的で心がこもっていないな、などと判断が出来るようになります。
相手の人物像が見えてきた時には、面接前からメモにしておいて実際の面接資料と一緒に保管しておくと便利です。
応募者にとっては面接前だから普段の自分の地がでやすいのです。
地が出るという事は、演技をする面接と違い採用後の仕事ぶりと一致する事も多くありますので、この時点で採用の判断材料とする方が良いでしょう。
電話、メール、手紙は内容が重要
電話、メール、手紙には上手下手というのがあからさまにわかってしまいます。しかし、その上手下手は教育をし覚えてしまえば出来ることです。
ただ、内容については人物像が素直に出る部分で、教育をしてもうまくなるものではありません。つまり、内容を十分と読み取る必要があります。
不採用通知を送っても、複数回アツく「採用してください」と送ってくる人もいます。そのアツさが何なのかはわかりませんがその気持ちを読み取ってみる事も必要でしょう。
人事部門の面接担当者(面接官)の心構え
会社はヒトが動かしている
ヒト・モノ・カネという言葉は誰しも一度は聞いた事があるのではないでしょうか?
すべてが会社という組織を動かす上で大事ですが、一番といえばヒトです。
つまりはヒトが会社を動かしているといって過言ではありません。
モノ・カネについては人から借りてくることができますがヒトは借りることが出来ません。
人材は人財と言われているようにヒトこそが組織の中で一番大切なのです。そのヒトを選別するといっては語弊がありますが、その組織を動かすヒトを雇うという面接担当者(面接官)の仕事がどれだけ重要かは認識していただけると思います。
モノを作り、カネをもたらすのはすべてヒトなのです。ヒトが持っている知識や知恵、創造力を駆使してどのように考えて、どのように組み合わせるかによって、会社という組織は伸びもすれば縮もします。
ヒトの組み合わせ方は経営を左右します。それを担うのが人事部門なのです。
そして、採用面接というのは、そのスタートを受け持つ仕事です。その自覚がなく。いい加減な感覚でその仕事をするというのなら、それは会社に対する冒とくであり、応募者への裏切りです。
「軽薄者と尊大者には人事を担当させるべからず」という言葉があるのですが、採用面接においてはなおさらのことです。
良くある話ですが、採用面接の時の対応が悪く「こんな会社で働きたくない」と思った会社に限って数年後には無くなっているときがあります。採用面接という将来を担う人材を選考する際に、しっかりとした対応が出来ない会社がしっかりとした仕事が出来るとは思えません。これがそのまま当てはまっているのだと思います。
面接担当者(面接官)にしてはいけない人物
悪印象を与える偽物エリート社員
人事部門に配属されるスタッフは、組織の中枢にあると認識していて、自分を優秀だと自他ともに認めるスタッフも多いので。その為、エリート意識を丸出しに仕事に取り組む社員も少なくありません。そんな、社員を面接担当者(面接官)にすれば会社の恥さらしになってしまいます。応募者は採用するまではスタッフ側の人間ではなくお客様の可能性が高い訳です。そんな応募者へ横柄な態度をとる面接担当者(面接官)に良い印象を持つはずがありません。
仮にも面接の現場に偽物エリート社員のままで臨んだとすれば、それだけで応募者からの会社への印象は悪くなります。なぜならば、そういった態度は必ず自然と表れてしまい、「嫌なやつ」という印象が応募者にしっかりと伝わるからです。
また、人事部門にいる人物が会社の中枢の人物だという事が世間の常識ですので、他の社員もスタッフも同じと感じ、会社全体の印象に繋がるのです。
横柄な態度をとる社長が面接官
面接担当者(面接官)は偉ぶってはいけないのです。それが社長であっても同じです。
威厳を持った態度で厳しく人選をすることは大事ですが、横柄な態度で応募者と接してはいけません。「能ある鷹は爪をも隠す」という諺の通り、偉いのだと表にだしては、せっかくの威厳もなくなってしまいます。小さな犬ほどよく吠えるのです。
また、社長の隣で一緒に面接担当者(面接官)をする社員への態度も注意が必要です。応募者は社長のその態度を見て、自分が採用された後に働いている姿を想像してしまいます。そうして、「採用辞退」を招いてしまうのです。
ただ、面接担当者(面接官)は卑屈になってもいけません。
卑屈になってしまっては応募者から尊敬できる人物ではないと感じて、こちらも「採用辞退」につながってしまいます。
威厳を持ち、厳しく人選するその姿勢こそが人間として強く、頼りがいのある、尊敬できる人物に見えるのです。
人材の心を引き付ける採用
感情に働きかける
「行動する時に人は感情が先にある。」
と、いう研究結果があります。
つまり、採用され働きたいと思わせるには感情に働きかけることが良いのです。嘘であっても褒められれば嬉しいもので、馬鹿だといわれれば腹が立ちます。これを馬鹿正直に捉えて嘘をついて褒めろといっているのではありません。
良い人材の心を引き付け、採用されたいという気持ちにさせるためにはどうするべきなのかを考えて見てください、自然と答えも見つかるはずです。
具体的なテクニックとしては「相手の感情に心地よい印象もしくは、熱烈な感動を与える」応募はを一人の人間として敬意を払い、礼儀をもって接する」という事です。
先ほどお伝えしたように、嘘をつくのでもなく、へりくだって相手を持ち上げるのでもなく採用する側としての威厳を保ちながらも相手を尊敬して接しましょうということになります。
言動に注意し、応募者への礼儀を尽くす
まずは、言動です。偉そうに部下と接するような口調は止めましょう。また、態度やマナーも重要になってきます。応募者を馬鹿にしたような発言はもちろんいけません。
そういった事を気をつけながら、相手の自己効力感が増すような発言などをしてみましょう。
そうすることで普段の応募者が見えるという事もありますし、結果として不採用になったとしても、あの企業の面接の時には楽しかったなと思い出して元気がでるように心がけましょう。
そうすればそのまま、これと思う人材にも感動を与え、採用通知に応じる下地を形成する事につながります。
こういった対応が面接担当者(面接官)の人間性も向上し、人材の確保に貢献し会社の売上や利益にもつながるのです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
応募者への対応に会社のすべてが現れるといっても過言ではありませんが、応募者は仲間になる可能性のあるヒトですので、威厳も持ちあわせていなければなりません。
つまり、人事スタッフは人間性が備わったヒトがしない事には、会社が悪くなる一方なのです。
このことを認識して人事スタッフは仕事に取り組むべきであり、それを認識できない人に人事スタッフをさせるべきではないと考えます。